GoogleのKNOLは、ウィキペディアの脅威になりうるか? 77
ネット時代の書籍とは、こういうものだ 部門より
GoogleのOfficial Blog「Encouraging people to contribute knowledge」という 12月13日付けのエントリの中でUdi Manber氏は"knol"という知識を共有するツールを提供し始めていることを明らかにした。公式ブログの内容についてはITmediaやPolar Bear Blog 「Google 版 Wikipedia 「Knol」 発表」が分かりやすい。 この発表は一部で「Googleが百科事典を作る!」「Googleがウィキペディアに挑戦!」と受け止められている。上記どちらも、knolを「Google 版 Wikipedia」と形容している。TechCrunchは「WikipediaとSquidooをかけ合わせたような、ありとあらゆるテーマに関するユーザー生成タイプの知識ベースのサイト」と形容。ウィキペディアにも影響がでかねない、とする。
(つづく)
だが、はたしてそうだろうか?
knol(ノール)は「知識のユニット」を意味するという。「知識の構成単位」? それぞれのページが独立した単位だ、ということか?
knolは、ウィキペディアと異なり、他の編集者から余計な(と自分が思う)ことを加筆されたり、大事な(と自分が思っていた)記述を消されたりすることもない。確かにウィキペディアの共同作業より「ストレス」は少なそうだ。だが、そこにウィキペディアのようなコミュニティは形成できるのだろうか? あの、やかましいがスリリングなバザール空間が作れるのだろうか? ウィキペディアンはしばしば編集合戦に倦み疲れてウィキペディアを去る。だが、その多くはしばらくすると禁断症状に苦しむようになり、結局舞い戻ってくるのだ、喧騒といたわりと紛争と友愛がごちゃ混ぜになったウィキペディアに。
Googleがテスト中のknolでは、誰でも特定のトピックについて解説ページを作ることができる。執筆者は広告を載せて収入を得ることもできる( ITmedia)
執筆者それぞれが、おのおののページの主人、唯一の執筆者であり、他者のコミットはせいぜいコメントや質問に留まるとしたら、これは、通常のWebサイトやブログとどこがちがうというのか? Googleのアフィリエイトも今ではどこにでもある。
Knols will include strong community tools. People will be able to submit comments, questions, edits, additional content, and so on. Anyone will be able to rate a knol or write a review of it.(Official Blog)
knolは強力なコミュニティ・ツールを備えている。コメント、質問、編集(?)コンテンツ追加、などが可能になるだろう。個々のknolをランク付けしたり批評を書いたり出来るようになる。BusinessWeekは、Google's Knol: No Wikipedia Killerで、Googleのknolはウィキペディアキラーではないとみている。ウィキペディアは共同作業を通じ中立的観点を目標として編集されているのに対して、knolはその反対に、執筆者ひとりひとりの観点から執筆される。knolが成功したとしても、それがウィキペディアの価値を減じることはないだろう>>人々は、New York Timesと個人ブログ、両方を読むように、Wikipediaとknol、両方を求めるだろう、としている。
またGoogleにコミュニティが作れるのか、という問題もある。いったい、ブログとどれほど違うのだろうか。
ライセンスはどうなるんだ? (スコア:5, すばらしい洞察)
これに対するウィキペディア側からの再反論として何があったかというと、大きく二つ。それは「中立的な観点 (NPOV)」と「GFDLに基づく公開」です。
NPOVでは「インターネット上には確かに多くの情報が散らばっているが、それぞれは『偏った』観点から書かれているかもしれない。ウィキペディアではNPOVという執筆方針に基づいて書くことで、その全体像を俯瞰できるような内容を書くことに取り組んでいる」ということで、またGFDLについては「インターネット上には確かに多くの情報が散らばっているが、それを著作権的に問題のない形で『自由に』利用することができるものは少ない。如何に優れた情報と言っても、それを再利用するためには、それぞれ個別の著作者と直接交渉しなければならないし、それで許可を得られるかも判らない。これに対して、ウィキペディアに書かれている内容については、GFDL下での自由利用が可能である」ということで、それぞれ「縮小版インターネット」とは違う点がアピール可能だったわけです。
で、このような考え方から、今回のKNOLについて見てみると、これこそがまさに「縮小版インターネットとどう違うの?」というものになってしまうのではないかと。
NPOVについては、同じ項目について複数の執筆者が執筆に当たるということでカバーしようとしているようだけど、それで果たして十分なのか? とは思わなくもないです。でもまぁ、これについてはウィキペディアでも、NPOVは「理念」であっても実現が困難なものでもあるので、まぁお互い様かもしれない。となると、気になるのはKNOLのライセンスがどうなるのか、ということ。ここらへんが元のブログでは触れてないようなので何とも言えません。ただ執筆者を限定するのであれば、GFDLやCC-by-saのようなライセンスを取る必要はないわけだし、そこらへんをどうするのかが気になります。恐らくGoogle側には出版などの条件を認めるようなライセンスを、執筆者との間で取り決めるんでしょうけど、第三者が自由に使えるものになるのかどうか、そこらへんが気になるところですね。
Re:ライセンスはどうなるんだ? (スコア:1)
ただ、blogも当初は”そんなの昔からあるじゃん”と言われつつ、連携するためのプロトコルやツールの
発達によって、それなりに存在感のあるものになったので、KNOLもそういう方向性なのかもしれません。
”じゃあそれってblogとどう違うの? blogじゃダメなの?”というタレこみ文にある疑問は解消されて
いませんけど。
Re:ライセンスはどうなるんだ? (スコア:0)
ただし「縮小版」というからには生のインターネットとの違いはありますよね。
生のインターネット上にある多種多様なWebやブログから検索するよりも、
googleがあらかじめ用意したフォーマットのシステム上にデータを乗っけてくれた方が、
提供する検索の質をgoogle自身がコントロールしやすいということではないでしょうか。
そもそもgoogleの武器は検索ですから。
フォーマットだけ制定すればいいんじゃないですかね。 (スコア:4, 興味深い)
関連項目やキーワードリンクも、URLを直に指定してリンクするのではなく、辞書項目へのリンクという風にだけ記述しておいて、ジャンプ先は評価の高いページへ飛ぶというような感じです。
これであれば、体裁も統一できますし、編集合戦も起きません。専用のオーサリングツールも作れます。
Re:フォーマットだけ制定すればいいんじゃないですかね。 (スコア:2, おもしろおかしい)
ところでPSPって色々言われているけど、
あの価格でゲームもできて、音楽も聴けて
映画もみられるし、何よりあの液晶はすごい。
今年一番の買い物だと思う。
ちなみにhydeの身長は156cmである。
Re:フォーマットだけ制定すればいいんじゃないですかね。 (スコア:1)
詳しい方、よろしければフォローお願いします。
Re:フォーマットだけ制定すればいいんじゃないですかね。 (スコア:1)
もちろん Google だけが検索エンジンになるわけではなく、検索するのは自由ですし、特定の用語範囲をパッケージして高速化したローカルインストーラブルなモジュールを作るなど自由に利用できるイメージです。
語の意味 (スコア:3, 参考になる)
で、両者は記事の主キーが
Wikipedia: トピック
Knol: トピック & 著者
である、というのが最大の違いと理解しました。
ただ、トピック & 著者だと細分化しすぎな気がして、上のような語の意味の問題が顕在化しそうですから、間を取って、「トピック & 著者グループ(著者はグループに参加した上で執筆)」が記事の主キーになるようなシステムを妄想中。
Re:語の意味 (スコア:1, 興味深い)
googleの欲しがっているものは (スコア:3, 興味深い)
検索技術を生かすためには膨大な量のネタが必要。
そのためにknolを作り重複があっても書き込みできるようにしている。
・重複があってもgoogle得意の検索技術を生かして有用な情報をサルベージできる
→knolはgoogle管理下なので、SEO対策されない
→knolに挟む広告枠の価値が上がる
→googleウハウハ
一番問題になる膨大な量のネタは他人に作らせて、自分はその隠された価値を利用して金儲けを企んでいるだけ。
技術が問題なのではない。googleがどの点で金儲けするつもりなのかを考える必要がある。
良いんじゃない? (スコア:2, すばらしい洞察)
主観的だが詳しい説明を3つや4つ読んだ方が、全体像がよく分かる事もあるわけで
Re:良いんじゃない? (スコア:1, 興味深い)
>主観的だが詳しい説明を3つや4つ
が混在して統一性欠く変な文章に成っちゃってるとこだな。逆に統一されてる強固にマイワールド出来上がっちゃてる文章は手入れる気しないし。
まぁどう考えてもWikipediaがベストとは思えない。方法論は色々あっていい。
Re:良いんじゃない? (スコア:1)
世間的に。
=-=-= The Inelegance(無粋な人) =-=-=
Re:良いんじゃない? (スコア:1)
=-=-= The Inelegance(無粋な人) =-=-=
理想の後退 (スコア:2, すばらしい洞察)
botのクロールだけでknolのようなページを作れた方が技術的に良いんじゃないかと思う。
この辺がGoogleの限界か。
Re:理想の後退 (スコア:4, すばらしい洞察)
Googleにおける情報の価値を図る指標としては、検索順位とかpagerankとかありますけど。
いわゆるSEOとか、いろんな人が入り乱れすぎてごった煮になってきている感があり。
検索できる人できない人の差は、玉石混交状態からうまく拾えるかどうかなのかなーと。
で。
knolの思想としては、「質の高い情報を確実に集めたい!」ってところでは。
だからこそ編集者に責任を持たせて、対価も支払う用意があると。
中立で成り立ったWikipediaとはまた趣向の違うものが出来上がると思いますよ。
ま、現物見なきゃ何とも言えないのが正直なところではありますが。
劣化版Wikipediaを作る気はないんじゃないですかね。
... from rakehelly programmer.
Re:理想の後退 (スコア:3, 参考になる)
表示された情報が正しいのか正しくないのか。それが自分の求める情報だったのか否かは、
どこまでいっても結局自分で判断して決めるものなんですけどね。
ある人にとって石でも、別の人にとって玉ってのは情報に限らず何でもそうでしょう。
なのでそれらを一箇所に集めようとする以上、現在の玉石混合状態というのは必然なのではないかと考えます。
# まぁ周囲を見ても表示された情報に振り回される人間の方が圧倒的に多いですが。
## オマエモナー
Re:理想の後退 (スコア:2, すばらしい洞察)
説明は「受け取る側の知識量」にも依存するので、不特定多数を念頭に最良を目指 すのは難しいです。それはどうしても「薄く、広く」になりがちなのです。百科 事典が「入り口」でしか無い、というのと同じ話なわけですけれどね。
例えば、名の知られた百科事典でも、筆者によって「項目」に関連して語られている 事柄についての視点が微妙に異なる、という状態が存在するわけですが(知識という のはどこまで行っても「個人のマトリックス」ですので、それで当たり前なのです)、 そのあたりを実感すると「情報」に対する視点が変わるかもしれません。
まあ、だから「情報は常に複数獲得して、見比べる事が必須」なのですけれど、そう いった基本的な部分の理解が無いままに、玉石混淆状態の大量のWeb情報に触れてしま うという状況はとても不幸だと思います。
個人的には、「子供がかみつける部分(そう言えば前に見たことが有る)を多く作る」 と、大人にも読みやすい記事になるように思います。また、知識の獲得では「書いてい る側が正しい事を書く」事と共に、「読む側がそれを理解できる」事が大事ですので (教科書と知識の獲得が最も身近な例です)、Webという同じ事についての複数の説明 が併存できる環境が有るのは、望ましい事だと思っています。
ただ、明らかに記述が間違っていたり( … 指摘されたら迅速に訂正しましょう)、 一般論として正しいことを特殊な事例に適用して自分の立場の正当性を主張する様な、 悪意による巧妙なすりかえが行われていたりする様なものは困ります。そういった事例 が上手くはじき飛ばせれば、それでかまわないはずなのですが … 難しいですよね。
Re:理想の後退 (スコア:1, 興味深い)
Googleが、既存の検索を使わずに新たなシステムを作ったのは「情報の質を上げたいから」なのでしょうが
あげたい情報の質は、必ずしも「石や玉であるか」では無いと思います。
むしろ、このKNOLでは例えば「宝石」に関する情報を集めた時に、そこに石や玉、ガラスやタングステンが集まるような多様性でWikipediaとは差別化しているのではないでしょうか。
しかし、既存のGoogle検索で「宝石」に関する情報を集めようとすると、そこにプログラミング言語やキャビア、トマト、ホタルイカ、クリスマスに彼女に贈るプレゼント! なんかが集まってきます。
それらは、このシステムでは弾きたい情報ですよね、多分。
Re:理想の後退 (スコア:1, おもしろおかしい)
…となると、AllAboutとかが競合になるのかな?
--
// これ以上ツッコミたくないのでAC。
Re:理想の後退 (スコア:3, 参考になる)
Google八分 (スコア:2, 興味深い)
そんなことよりも (スコア:2, 興味深い)
Google、ユーザー・プロフィールの集約化サービスをスタート [techcrunch.com]
今まで、Googleは個人情報を収集してるとかしてないとか言われてきましたが、これでもう本当に(いや、正確には本当の個人情報書かなくてもいいが)そっちの情報も収集する方向に動いてることは間違いなかですね。
何にでも手を出しすぎ (スコア:1, 参考になる)
Re:何にでも手を出しすぎ (スコア:0)
Re:何にでも手を出しすぎ (スコア:1)
じゃああとは議員に立候補したり中古車売買に手を出したりしたら要注意ですね!w
#GoogleAutoは車がタダの替りに全面に広告が貼ってあったり?
Re:何にでも手を出しすぎ (スコア:1)
/* Kachou Utumi
I'm Not Rich... */
Re:何にでも手を出しすぎ (スコア:0)
参加してもらいたい人達 (スコア:1)
そのついでに学会誌の電子化も。
参照論文は(金銭的に)参照できるものにしてくれよ゚・(ノД`) 。
Re:参加してもらいたい人達 (スコア:0)
第一著者が実質な著者で,大学の先生は,お金を取ってくるのが仕事な人も多い.
大体,学生の方が人数も多いし,時間もあるので,このシステムで実際に書いてくれるのも 学生メインかと. 大学の先生が書くより,実際に研究している学生が書いてくれたほうが正確にもなるのでは.
wikiaも検索エンジン開発してますし (スコア:1, 参考になる)
Re:wikiaも検索エンジン開発してますし (スコア:1)
Wikipediaじゃなくて、wikiaサービスの対抗馬では? (スコア:1)
Wikipediaをつぶしたいなら、Googleが支援をやめればよいと思う。
wikiaやsharepointではないでしょうか?特にsharepointの対抗馬になると思うのだけれど。
wikiaはかきの通り
http://ja.wikia.com/wiki/%E3%83%A1%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%9A%E3%83%BC... [wikia.com]
Google Appsにknolを導入したら、knolを使用したい企業は多いと思う。
実際、sharepointの提案依頼は多いし。knolはキラーアプリケーションになると思う。
Nupediaのnon-free版じゃん (スコア:1)
KNOLの名前の由来 (スコア:1)
結局思いついたのは、物理量の単位のmolとknowledgeをくっつけた単語なのではということだけなのですが。
これが正解でしょうかね?
Re:KNOLの名前の由来 (スコア:1)
the.ACount
Re:KNOLの名前の由来 (スコア:1)
>free tool that we are calling "knol", which stands for a unit of knowledge.
http://googleblog.blogspot.com/2007/12/encouraging-people-to-contribute.html
Knowledgeを「知識」全体として、それを構成する文字4つを抜き出し、
知識を構成する単位としたとしか読めない。
なにか深い意味があった様な気もしないでもないが。
実名投稿必須になるのかな? (スコア:1, 興味深い)
最終的に誰でも参加できるけど実名必須ということなら、Wikipediaで宣伝目的としてはじかれている自分自身の記事を書かない類の記事が増産される気はする。企業の紹介記事もそう。逆に暴露、告発系記事は訴訟可能性の点からみんな尻込みすると思うから宗教団体批判とか著名人のプライバシー関連とか犯罪被疑者の実名表記といった記事は抑止されるかな。問題は意図的に虚偽の内容が混ざった記事で、これをやられるとちょと厄介だと思う。
ところで執筆は実名として、コメントは匿名ありなんだろうか?コメントも実名だとしたらこれも日本では閑古鳥が鳴くような・・
で、俺は日本でサービスが開始されたら参加する。プロフィールに所属組織が(URLが)書けるならSEO対策として有効だと思うからね。少しはAdsenseでお小遣い貰えそうだし。
なんでWikipediaへ書き下ろし記事を投稿するのはしばらく控えることにしたw
--
今日は卑怯者
Re:実名投稿必須になるのかな? (スコア:1)
typo (スコア:0, オフトピック)
s/Googl/Google/
とやると大変なことになってしまうのですけれども。。。
Re:typo (スコア:1)
#めんどいのでID
http://srad.jp/it/comments.pl?sid=383641&cid=1266979 の
<title>GooglのKNOLは、ウィキペディアの脅威になりうるか?</title>
とか、
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とか
Re:typo (スコア:0)
こんな感じだっけ?
Re:typo (スコア:0)
Re:typo (スコア:0)
Re:typo (スコア:0)
Typoその2 (スコア:0)
s/アフィリエイと/アフィリエイト/
MSIMEってこのミスやるんだよね。ぐぐったら15600件もあったよ(汗
Re:typo (スコア:0, オフトピック)
でいいんじゃね?
しもべは投稿を求める →スッポン放送局がくいつく →バンブラの新作が発売される
Re:typo (スコア:2, 参考になる)
どーしても気になるなら、man ed [linux.or.jp]でも読め。
割合期待できる (スコア:0)
あとは、そのなんだっけKnowlを検索した結果のランク付け(ていうか表示順位?)
が適切にされてさえいれば、情報としてもそれなりに役に立ちそうだ。
むしろ (スコア:0)
内容が書き手の自由なだけに、レーティングがうまく機能しないと”現代用語の糞知識”になりかねないけど。