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Google と全米作家組合・出版社協会との和解が各国著作権者をも巻き込む 115

ストーリー by reo
全世界を巻き込んで絶賛大暴れ中 部門より

ある Anonymous Coward および Mahiru.Minamino 曰く、

Google Book Search が行う米国内大学図書館のデジタル化をめぐって米 Google と全米作家組合 (National Writers Union. 以下 NWG), 全米出版社協会 (The Association of American Publishers) が昨年 10 月に合意した和解に従い、「日本において出版された書籍もベルヌ条約により米国における著作権を持つものとみなされ、特に申請のない限りは米国における著作権者としてこの和解に同意したものとみなされる。」とする告知が先日 2 月 24 日に新聞各紙で行われた (YOMIURI ONLINE の記事) 。

和解内容についてはGoogle ブック検索和解契約のページの他、本家 /. 記事NWG のプレスリリースNYTimes.com の記事TechCrunch の日本語記事 などを参照されたい。和解の骨子は

  • 2009 年 1 月 5 日以前に出版された書籍に関して、Google はデジタル化し Google Books Search (以下 GBS) でサービスに供することができる
  • 上記許諾は、米国内の GBS サービスに対してのみ与えられ、米国外へのサービス配信には利用できない
  • 著作権者は、申請により、個別の書籍を GBS に登録しないことを選択できる
  • 今後の GBS の収益の 63 % を著作権者に配分する
  • 上記の配分を行うことを目的の一つとして、Google からの出資を得た上で、書籍と著作権者の管理データベースを設立する
  • 2009 年 5 月 5 日までの GBS サービスによる収益の配分として、Google はデジタル化された作品ごとに 60 USD を著作権者に支払う
  • 以上の和解に同意しない著作権者は、2009 年 5 月 5 日までに、原告団から自身を除外するよう申請できる

となっているようだ。和解の効力は米国内での著作権者全てが対象となり、ベルヌ条約の規定により加盟国で出版された書籍は米国でも著作権が発生するため、影響が日本など世界中に及んだ形である。ところでこれ、マンガやコミック・同人誌なども影響をうけたりはするのだろうか ?

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  •  今回の件で、Googleは作家への直接的報酬だけではなく、以下のコストを支払ってます

    • 書籍の電子化作業
    • 利益配分のための非営利団体「版権レジストリ」設立に3450万ドルの資金負担

     つまり、作家への負担コストはほぼゼロで、作家が個別に版権レジストリに登録するだけで報酬を得ることができるようになります。
     ほとんどの場合、作家は売上ではなく刷った数に応じて印税収入を得ますので、在庫が売れようが返本されようが処分されようが収入はかわりません。なので、絶版になった書籍から収入を得ることは事実上ありません。つまり、作家にとってのリスクはありません。

     そして、その報酬は「電子書籍の販売、書籍ページでの広告での売上の63%」です。日本の書籍の一般的な印税が高くて20%程度であることを考えると、破格と言っていいでしょう。
     一方、日本文藝協会はというと、年間200万円というはした金で運用できるようなちゃちい検索ポータルで「ポータルサイトは利便性が高く、保護期間延長の弊害の大部分は解決できるはず」と豪語 [impress.co.jp]しちゃってるわけです。
     まあ、立場も目的も違うのでしょうがないところはありますが、この落差はあまりにも激しすぎる。
     もし、文藝協会が今回の件に対して非協力的な態度を見せるようだと、内部から崩壊してしまうんじゃないでしょうか。

    --
    しもべは投稿を求める →スッポン放送局がくいつく →バンブラの新作が発売される
  • 書き忘れていたけれど、この件に関してまず最初に読むべき記事はこれだと思う。是非一読されたし。

    骨董通り法律事務所 「全世界を巻き込む、Googleクラスアクション和解案の衝撃」 [kottolaw.com]

  • 絶版本 (スコア:2, 興味深い)

    by Anonymous Coward on 2009年02月26日 12時16分 (#1520791)

    出版社や著作権者にとっては面白くない話なんだろうが、
    一読者としては、電子化もせずに絶版にして放置しているような
    書籍がオンラインで読めるようになればと夢を見てしまいます。

    • Re:絶版本 (スコア:2, 参考になる)

      by Mahiru.Minamino (2542) on 2009年02月26日 12時48分 (#1520825) 日記

      この話は著作権者にとって悪い話ばかりでもないようで、GBSにおける利用法についてかなり細かく規定され、著作権者の利益保護に配慮がなされています。

      • 今後に関して、絶版本は申請がない限りデジタル化の許諾を得たものとみなす(要はOpt-Out)が、絶版でない本は明示的な許諾がない限りデジタル化は行わない(Opt-In)
      • 広告収入や、B2Bでのサービス提供も含めた全売上を著作権者とシェアする
      • 無料で閲覧できるのは1つの作品あたり20%までで、それ以上の閲覧は有料とする

      絶版本に関してOpt-Outになっていることが従来の感覚から乖離しているだけで、電子書籍の配信に関する統一的な契約内容としては悪くないと思います。
      まあ、この和解に同意するか否か自体がOpt-Out方式になっているのが一番衝撃的ですが。
      #Opt-In方式であったなら素晴らしい契約だったと思います。

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      • by Anonymous Coward on 2009年02月26日 13時03分 (#1520845)

        いえ、むしろオプトアウトだからこそよいのだと思います。
        商標や特許が、自分で権利を主張しないと守られないものであることを考えると、
        オプトアウトという考え方は、それほど衝撃的なものとは思いません。

        世の中の大量の著作物について1つ1つ権利者に確認してオプトインすることは現実的ではありません。
        できるだけ多くの著作物をDB化することは、消費者の利便性と言う点で重要ですし、
        オプトアウトの権利が保障されていれば、決して著作権者の権利をないがしろにすることはないと思います。

        例えば、オプトイン制で、オプトアウトの権利がろくに保障されていない、
        JASRACのようにしてしまうのが素晴らしいとは言えないですよね。

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      • by ex (1307) on 2009年02月26日 13時40分 (#1520895) ホームページ 日記

        >まあ、この和解に同意するか否か自体がOpt-Out方式になっているのが一番衝撃的ですが。

        これはクラスアクションという訴訟形態の性質に依存しているのだと思います。衝撃的と感じるのは、日本にはこういった訴訟形態が無いからではないでしょうか。

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    • 日本の書籍を正式に出版社を通じてアメリカで出版している場合は、管理する会社があるわけですが
      アメリカで正式に出版されてない書籍が取り込まれると、
      管理者不在で権利がないところへまちがって登録されたり、権利がないないところに配分されたりしそうな話ですね。

      著作権者の確認はしてないが、登録は受けつけた。変更はできない。なんて話が先日、日本の管理団体でもありましたよね。
      親コメント
  • 大騒ぎすることはない (スコア:2, すばらしい洞察)

    by Anonymous Coward on 2009年02月26日 12時33分 (#1520806)

    またここでグーグル帝国主義について大騒ぎが始まるのでしょうが、そんなに恐れることはありません。

    今回の和解に入りたくなければ除外を申し出ればいいのですから。例えば日本の作家団体でまとめて会員リストを送って「入らない」ということだってできます。あるいは英語以外の言語についての著作についてはとかいろいろ条件をつけて除外することだってできるかもしれません。そんな大雑把なことをしないことを望みますが。

    個人的には、入手不可能な本を入手可能にするのはすばらしいことだと思います。そのためには、アクティブに著作権による金儲けを追求されていない本は基本的にOKという今回のようなやりかたに賛成です。

    • by esuyan (7005) on 2009年02月26日 12時43分 (#1520819)

      ITmediaの記事 [itmedia.co.jp]の新聞広告を見ましたが、概要だけで細かい部分が不明(最初は和解に加わらず、後から参加は可能なのか、とか)で、さらに問い合わせもできないようで、ちょっと胡散臭い感じがします。
      和解への異議申し立てと不参加には今年の5/5までの書面での申し立てが必要で、急がせてる割にはかなり不親切な説明だな、という印象です。実際には内容をきちんと精査しなければいけないので確かですが、簡単に諸手を上げて賛同というものでもないと思います。

      親コメント
    • そんな単純な話ではないでしょう。
      本題とはだいぶ外れてるんですが、興味深かったので、コメントさせていただきました

      除外させてもらえる権利があるだけで、グーグル帝国につながらないというのはおかしな話で、
      たとえで言うならば、100人の集団で、一人のボスが人を集めてもう80人近くの主流派を形成しかかったところに、
      私は嫌ですといったら、人が目もくれないようなマイノリティーに自ら下ることになるわけです
      それをどう選択するかは個々の判断でしょうが、それでグーグル帝国にならないというのはいささ安直な気がしますね

      それどころか、この除外する権利をやるという手法はかなり手が込んでいて、
      つまり、裏返しに除外すると申請しなかったならば、「自分の意思で参加した」ということに名義上できてしまいます
      これは権力の隠蔽につながるのです。あるいは別の見方をすれば、旧来の権力イメージでは捉えきれなくなってしまいます
      旧来型の権力イメージは、国家に象徴されるように、物理的暴力の独占による強制がその源泉だが、その場合、自らの意思で国を選択するということがあまり現実的なものではないということが前提される
      それに対してグーグルの手法は、新種の権力への参加を自らの意思でなされたものとしてしまうのです
      もっとわかりやすくいえば、拒否できる権力をやる=強制力はありませんよアピールです。

      つまり、重要なのは、参加不参加を決められるということにあるわけではなく、
      この仕組みが自然拡大をしていくうちに、検索ランキングのように、多大な影響力を持ってしまうということなのです。

      親コメント
  • by akiraani (24305) on 2009年02月27日 15時17分 (#1521780) 日記

     考え方としてはいくつかあるでしょうが、今のところは出版社が和解に応じた上で原則公開拒否とするのが一番無難なんじゃないですかね。

     今回の件で一番問題視されているのは「米国では流通していないが日本では流通している書籍」の扱いについてです。
     公開拒否をするだけであれば、出版社か著者のどちらかが期限までに和解に応じて公開を拒否することで事足ります。そして、出版社で原則公開拒否を明言しておけば、事実上日本の書籍に関しては公開禁止というステータスになります。
     出版社単位で拒否とすれば、Googleも機械的に判別ができますので対応は簡単でしょう。

     原則としているのは、日本でもすでに絶版になっていたりする場合は、公開を許諾したほうが利益につながることも考えられるからです。公開禁止を取りやめて公開して分配金を受け取るように変更することは可能なので、著者が望めば個別に出版レジストリに登録し分配金を受け取るというオプションをとれた方がよいためです。

     まあ、現状、日本で電子書籍といえば大半が携帯電話向けで、日本語の書籍データをそのままスキャンしたデータを置いたところで有料サービスに加入してみようとする人がそんなにいるとも思えません。なので、日本語書籍のGoogleブックからのまともな収益は期待できないのではないかと思われます。
     Googleは独占権を要求しているわけではないので、和解に参加すること自体にはさほどのリスクはないし、今拒否っておけば、いざGoogleJapan経由で国内展開しようとしたときにも混乱しなくて済むんじゃないかと思うんですが……。

    --
    しもべは投稿を求める →スッポン放送局がくいつく →バンブラの新作が発売される
  • 抵抗は無意味だ (スコア:1, おもしろおかしい)

    by Anonymous Coward on 2009年02月26日 12時12分 (#1520789)
    我々はGoogleだ。
    お前たちの地理情報と科学技術は我々と同化する。
    お前たちの文化は我々と同化する。
    抵抗は無意味だ。
  • by Anonymous Coward on 2009年02月26日 12時45分 (#1520822)

    たぶん米国限定なら、良いことなんだろうね、きっと。
    非米国市民の一書籍中毒者としては、果たしてこれが絶版本の救世主なのか他国著作権の死神なのか何とも判断しがたい。

    よくわからないポイントが2つ。

    ・米国外へのサービス配信は許可されていない
      => どうやってアクセスを防ぐ?クローズドなサービスにでもしない限り不可能では?
    ・絶版もしくは「市販されていない」というのには米国の状況のみで判定される?
      => 日本で絶賛増刷中であっても米国では絶版だったら対象に含まれちゃう?

    • 単に同じサービスを日本でもやればいいだけなんじゃないでしょうか。Googleじゃなくてもいいけど。

      親コメント
    • >・米国外へのサービス配信は許可されていない
      > => どうやってアクセスを防ぐ?クローズドなサービスにでもしない限り不可能では?

      米国内で発行されたクレジットカードを所持してるかどうかなどで判断するんじゃないでしょうか。
      少なくとも、全文提供に関してはそのような形で判断されると思います。

      >・絶版もしくは「市販されていない」というのには米国の状況のみで判定される?
      > => 日本で絶賛増刷中であっても米国では絶版だったら対象に含まれちゃう?

      米国の状況のみで判定されるようです。これは今回の和解の内容(=クラスアクションによる法的決着の内容)がそのようになっていたからだと思います。
      Amazonなどで手に入る、などのルートが絶版とみなされるかみなされないかはわかりません。

      あと、対象に含まれるのは2009年1月5日までに出版された書籍の一部を除く基本的に全てです。その中で米国内において絶版になっているとされた書籍に関しては基本的には和解の内容での利用の形態で示されている「表示使用」「非表示使用」全てが適用され、絶版状態にない書籍とされている場合は「非表示使用」が適用されます。

      明示的に「表示使用を許諾しない」とすることによって表示使用から除外することは、和解成立後、絶版状態にある書籍であっても、申し出ることによって全て可能です。

      親コメント
  • by Anonymous Coward on 2009年02月26日 13時07分 (#1520852)

    >全米作家組合、全米出版社協会が昨年10月に合意した和解

    自分たちが管理している著作物以外にまで効力が及ぶ
    (日本の著作物が米国で著作権が発生するからと言って、全米作家組合、出版社協会がそれを管理しているわけではないよね)
    ような契約を権利者の承諾無く締結するというのは、法的に有効なのか?

    各国から契約無効を求める裁判が起きそうな気がするが。

    • 米国法上は恐らく有効なんじゃないかなと思います。日記にも書きましたが、もう一度纏めてみましょう。

      今回の決定上少なくともgoogleは米国で出版されていない本を含めこの決定は有効だ、としている理由は、「クラスアクション」という形式によって訴訟が起こされ、その訴訟に対しての和解が成立しているからです。クラスアクションという訴訟の形態は日本にはありませんので、各報道では単に「集団訴訟」「代表訴訟」などという表現になっていますが、一般的に日本でいうところの集団訴訟とは全く違うものだといえます。

      クラスアクションの詳細については以下のサイトなどを見てもらうのがいいと思うのですが。
      筑波アカデミア法律事務所「クラスアクション」 [tsukuba-academia.com]

      クラスアクションによって訴訟が起こされる場合、まずその訴訟について効力を発揮するのがどのようなクラス(効力を発揮する範囲)であるのかを確定します。 その確定されたクラスに属す人、今回の場合は「著作権者」となりますが、それは自動的に判決・和解の効力が及ぼされることになります。 当然、その範囲に含まれたくないと考える人がいるので、そのために「opt-out」を行う機会が設けられます。それが今回のgoogleの公告によって儲けられている期間です。 今回、googleが「望まない人は申し出ろ」という方法を取っているのは、これはgoogleの傲慢ではなく、単にアメリカの法的手続きに沿っているからにすぎないといえます。

      このクラスがどのような経緯で決定されたかは確認していませんが、基本的には裁判所がクラスについて判断するので、そのクラスについてgoogleは範囲を判断する立場にはないのではないでしょうか。

      >自分たちが管理している著作物以外にまで効力が及ぶ
      >(日本の著作物が米国で著作権が発生するからと言って、全米作家組合、出版社協会がそれを管理しているわけではないよね)
      >ような契約を権利者の承諾無く締結するというのは、法的に有効なのか?

      これが法的に有効なのが「クラスアクション」なのだと思います。その結果は少なくとも米国内では、クラスアクションの知・不知を問わず有効のはずです。

      親コメント
  • 廃盤・絶版モノにアクセスできるので利用者としても基本歓迎ですが。 ただ米国一国での訴訟結果がその他の国(今回の場合ベルヌ条約加盟国)全般に及ぶというのは、この先どういうことになるのかきちんと考えないといかんかなぁとか思ったり。
    --
    /* pegiminh (aka .thx) */
  • プロジェクトだし、和解に至ったということはそれまでに裁判というプロセスがあったわけだから、いくらアメリカの話だとは言え、新聞広告を見てから蜂の巣をつついたように騒ぎ出す、というのは情報感度が鈍いのでは…などと思ってしまいます。 実際、一月ほど前に歌田明弘氏が『地球村の事件簿』で解説している http://blog.a-utada.com/chikyu/2009/01/post-14e5.html [a-utada.com] 方がマシン能力などにも目配りした的確な解説記事だと思います。
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