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スラド民的には約款というとEULAみたいなのを想像すると思うんですが世の中のありとあらゆる物が対象です。ITについてはまだきちんと通知するという風習があるんでまだマシなんですこれでも。
今の約款に対する制度が不十分だということでよく例に挙げられる判例で「神戸ポートピアホテル預かり品盗難事件」ってのがあります。詳しくは消費者庁の解説ページ [kokusen.go.jp]を見ていただくとして、要点として
● 宿泊客がホテルに宿泊するとき、高額の品物が入った荷物をベルボーイに預けた● ベルボーイが目を離した隙に、荷物が盗まれた● 宿泊客「盗まれた原因はホテル側の不注意である。少なくとも責任の6割はあるので1500万払え」
と言う話です。一方ホテル側は約款について
● 宿泊約款に賠償の上限は15万円までと定められているので15万しか払う義務は無い
としてました。一方宿泊者側は約款について
● チェックイン時に起きた事故である。宿泊約款は客室にはおいてあるがそれまでに確認する術が無い。● チェックインの時に約款を確認する機会が無かったので、宿泊約款は無効である
と主張しています。で判決はどうなったかというと、ベルボーイが監視人を付けずに荷物を放置したのは重大な過失であると認定した上で
● ホテルの宿泊約款は、宿泊客が申し込んでおり、宿泊客が確認せず、確認する機会がなくても有効である● しかし、ホテル側が一方的に賠償の上限を15万円として制限した規約については不当である。1500万賠償せよ
と言う事になりました。これは最高裁まで行ってます。約款の話で注目するべきなのは
● 宿泊客が目を通さず、確認もできない約款でも同意してしまったら有効である● しかし"不法行為"があっても賠償を制限するような条項は無効である
と言う事になりました。しかし現実的に宿泊客がホテルに泊まるような日常的な行為に対して約款に目を通せと言う事は難しいですし、約款を提示する方は約款の提示の生むが有効性には無関係なので提示する必要も無いと言う事になります。意識している人なら提示を要求できますが、それを全員にやらせるのはまず無理ですし、約款を提示する側は提示する義務はありません。(もちろん提示されないから契約をしないと言う選択肢はあるのですが…ホテルの宿泊約款のように商慣習的に宿泊する部屋の中に掲示することが当たり前の場合はなかなか難しい)またこの状態だと、実際に契約するときに約款が存在したかどうかを担保する方法がありません。さらに法解釈によっては契約する時に約款が存在しなくても、後から作られた約款が適用されるという事もあり得るのだそうです。
また不当な条項は無効であると言うのは当たり前のような気がしますが、判例はこのように一つずつ積み重ねられていますが法律で包括的に明記されていないので、いちいち裁判して白黒付けるという事をしないと判断ができないと言う事になってしまいます。個別対応ですね。これは約款に関係する法律が古いまんまで、一般人が何かをするときにいちいち約款に同意すると言う行為が日常的に行われるようになると言う事を想定していないために起きているのだと言うことで改正するのだそうです。
案としては● 約款は、この約款を使うと言う事だけを同意する形になる。(デフォで有効としない)●「約款は予告なく変更できる」「何があっても弁償はしない(or xx円以上は弁償しない)」と言った一方的な条項を無効にすることを明確化と言う事らしいです。
正直、今まで放置されていたのがおかしいぐらいだと思いますがどうでしょうか。いちいちきっかり説明しろというのか、とかコスト問題はあるにせよ、契約する時に約款を提示し、利用者に約款を理解させる努力をしろぐらいはあたりまえにして欲しいです。結局は程度問題なんでしょうけど。
えっと、その裁判例の理解は正しくありません。
不法行為にせよ債務不履行にせよ、契約によって損害賠償責任の免責を規定することは可能です。
ただし、消費者契約の場合には厳しい制約がある一方で、当該裁判例の事案のように消費者契約でない場合であっても、故意・重過失でも免責する規定は無効だ、というのが一般的な理解です(法律上明文の規定はないですが。)。そのような規定は、たとえ約款で規定されているわけでなくとも(つまり目を通したうえで締結した契約であっても)、よほど特殊な事情がない限り無効だと考えられています。
したがって、残念ながらご指摘の裁判例は約款に関する民法改正とは無関係です。
約款を確認する機会がなくても有効ってどう考えてもおかしいよね最高裁判断が誤ってるとしか考えられない
どう考えてもオカシイと言うことはない。
2500万円相当の物品を預けてもリスクを担保できるという条件を協議せずにホテル側に負わせられるだろうか?宿泊契約が成立した時点で、双方が条件を確認すればよいのだし、確認しないなら、あらかじめ用意された条件に従うというのは通常の商習慣の範囲でしょう。
寿司をおまかせで頼んでおいて後で寿司ネタの説明をうける機会がなかったと主張しているのと同じ。
2500万円相当の物品を預けてもリスクを担保できるという条件を協議せずにホテル側に負わせられるだろうか
約款があるならそれをあらかじめ説明しなきゃ無効でしょ客が聞いてこなかったから説明しなかったけど約款は有効って理屈が横行するようでは消費者側が極端に不利になってしまう
1500万円のものを預けられる約款だったのがまずかったのか。今だと15万円までしか預けられないということを約款に書いておけばいいのか?
ホテル側としては、15万相当の品物の扱いと1500万円相当の品物の扱いは明らかに別になるでしょうし拒否できますよね?
15万円と言うのは、預ける品物の価値を担当者に通知しなかった場合の最大補償額ということで約款に書かれていたようです。それより高額な場合はその価値を扱う担当者に通知しなければならないようになっていたそうですが、今回は通知してなかったと言うことでこうなったようですね。
通知していた場合、扱いを拒否するのかもしれませんが、ホテルのランク的には拒否するのではなく相応の扱いをするように対応するマニュアルが存在したのかも知れません。
ただし今回の場合は「通知していようとしてなかろうと、お客の荷物を放置するのは"不法行為"だろjk」 と言う判断のようですが。
なんかうまく行き過ぎなようなきがするなー。これ計画的犯行な感じがする。
ホテルの約款が問題なっていますが、荷物の受け渡しのやり取りそのものに焦点が当たった場合、どんな結果になるんでしょうかねぇ?
2500万円といった一般的に高額と見られる手荷物品を相手方に周知せずに預けさせる行為は、社会通念から離れた不当な契約の押しつけのように見えますけど。
そもそも、そんな高額の品物を黙って渡す時点で宿泊客の不注意というか、常識からかけ離れているような気が……。通告したうえでのそれなら、ホテル側の瑕疵は理解できますが。
さて、本題としては約款変更に予告・承認が必要となると、事実上約款が改訂できなくなって、変更時には解約する旨の条項を設けて再契約させる形になり、結果的に契約手続が煩雑化したりしないでしょうかね?どちらかと言えば、承認がない約款の変更があった場合は、一方は契約内容のいかんに関わらず当該の契約を停止できる形にする方が良さそうな気がします。
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コンピュータは旧約聖書の神に似ている、規則は多く、慈悲は無い -- Joseph Campbell
約款のやっかいな点 (スコア:5, 参考になる)
スラド民的には約款というとEULAみたいなのを想像すると思うんですが世の中のありとあらゆる物が対象です。ITについてはまだきちんと通知するという風習があるんでまだマシなんですこれでも。
今の約款に対する制度が不十分だということでよく例に挙げられる判例で「神戸ポートピアホテル預かり品盗難事件」ってのがあります。
詳しくは消費者庁の解説ページ [kokusen.go.jp]を見ていただくとして、要点として
● 宿泊客がホテルに宿泊するとき、高額の品物が入った荷物をベルボーイに預けた
● ベルボーイが目を離した隙に、荷物が盗まれた
● 宿泊客「盗まれた原因はホテル側の不注意である。少なくとも責任の6割はあるので1500万払え」
と言う話です。一方ホテル側は約款について
● 宿泊約款に賠償の上限は15万円までと定められているので15万しか払う義務は無い
としてました。一方宿泊者側は約款について
● チェックイン時に起きた事故である。宿泊約款は客室にはおいてあるがそれまでに確認する術が無い。
● チェックインの時に約款を確認する機会が無かったので、宿泊約款は無効である
と主張しています。
で判決はどうなったかというと、ベルボーイが監視人を付けずに荷物を放置したのは重大な過失であると認定した上で
● ホテルの宿泊約款は、宿泊客が申し込んでおり、宿泊客が確認せず、確認する機会がなくても有効である
● しかし、ホテル側が一方的に賠償の上限を15万円として制限した規約については不当である。1500万賠償せよ
と言う事になりました。これは最高裁まで行ってます。
約款の話で注目するべきなのは
● 宿泊客が目を通さず、確認もできない約款でも同意してしまったら有効である
● しかし"不法行為"があっても賠償を制限するような条項は無効である
と言う事になりました。
しかし現実的に宿泊客がホテルに泊まるような日常的な行為に対して約款に目を通せと言う事は難しいですし、約款を提示する方は約款の提示の生むが有効性には無関係なので提示する必要も無いと言う事になります。意識している人なら提示を要求できますが、それを全員にやらせるのはまず無理ですし、約款を提示する側は提示する義務はありません。(もちろん提示されないから契約をしないと言う選択肢はあるのですが…ホテルの宿泊約款のように商慣習的に宿泊する部屋の中に掲示することが当たり前の場合はなかなか難しい)
またこの状態だと、実際に契約するときに約款が存在したかどうかを担保する方法がありません。さらに法解釈によっては契約する時に約款が存在しなくても、後から作られた約款が適用されるという事もあり得るのだそうです。
また不当な条項は無効であると言うのは当たり前のような気がしますが、判例はこのように一つずつ積み重ねられていますが法律で包括的に明記されていないので、いちいち裁判して白黒付けるという事をしないと判断ができないと言う事になってしまいます。個別対応ですね。
これは約款に関係する法律が古いまんまで、一般人が何かをするときにいちいち約款に同意すると言う行為が日常的に行われるようになると言う事を想定していないために起きているのだと言うことで改正するのだそうです。
案としては
● 約款は、この約款を使うと言う事だけを同意する形になる。(デフォで有効としない)
●「約款は予告なく変更できる」「何があっても弁償はしない(or xx円以上は弁償しない)」と言った一方的な条項を無効にすることを明確化
と言う事らしいです。
正直、今まで放置されていたのがおかしいぐらいだと思いますがどうでしょうか。
いちいちきっかり説明しろというのか、とかコスト問題はあるにせよ、契約する時に約款を提示し、利用者に約款を理解させる努力をしろぐらいはあたりまえにして欲しいです。結局は程度問題なんでしょうけど。
Re:約款のやっかいな点 (スコア:2)
えっと、その裁判例の理解は正しくありません。
不法行為にせよ債務不履行にせよ、契約によって損害賠償責任の免責を規定することは可能です。
ただし、消費者契約の場合には厳しい制約がある一方で、当該裁判例の事案のように消費者契約でない場合であっても、故意・重過失でも免責する規定は無効だ、というのが一般的な理解です(法律上明文の規定はないですが。)。そのような規定は、たとえ約款で規定されているわけでなくとも(つまり目を通したうえで締結した契約であっても)、よほど特殊な事情がない限り無効だと考えられています。
したがって、残念ながらご指摘の裁判例は約款に関する民法改正とは無関係です。
Re:約款のやっかいな点 (スコア:1)
約款を確認する機会がなくても有効ってどう考えてもおかしいよね
最高裁判断が誤ってるとしか考えられない
Re: (スコア:0)
どう考えてもオカシイと言うことはない。
2500万円相当の物品を預けてもリスクを担保できるという条件を協議せず
にホテル側に負わせられるだろうか?宿泊契約が成立した時点で、双方が
条件を確認すればよいのだし、確認しないなら、あらかじめ用意された条件
に従うというのは通常の商習慣の範囲でしょう。
寿司をおまかせで頼んでおいて後で寿司ネタの説明をうける機会がなかった
と主張しているのと同じ。
Re: (スコア:0)
どう考えてもオカシイと言うことはない。
2500万円相当の物品を預けてもリスクを担保できるという条件を協議せずにホテル側に負わせられるだろうか
約款があるならそれをあらかじめ説明しなきゃ無効でしょ
客が聞いてこなかったから説明しなかったけど約款は有効って理屈が横行するようでは
消費者側が極端に不利になってしまう
Re:約款のやっかいな点 (スコア:1)
と言うのをクソ真面目にやりだすと切りが無いのでこういう運用になってるんだろう。
逆に考えて、ホテル側が払えるぐらいの金額だったから良かったようなもので、 「時価の付けようのない国宝です。強いて付ければ国家予算ぐらい?」みたいな物をこそっと預けられたらたまったもんじゃない。 と言う意味では、消費者側が極端に有利になる。それがいくらぐらいの物かを告げて、預けられるかどうか協議すべき。
Re: (スコア:0)
1500万円のものを預けられる約款だったのがまずかったのか。
今だと15万円までしか預けられないということを約款に書いておけばいいのか?
ホテル側としては、15万相当の品物の扱いと1500万円相当の品物の扱いは
明らかに別になるでしょうし拒否できますよね?
Re:約款のやっかいな点 (スコア:1)
15万円と言うのは、預ける品物の価値を担当者に通知しなかった場合の最大補償額ということで約款に書かれていたようです。
それより高額な場合はその価値を扱う担当者に通知しなければならないようになっていたそうですが、今回は通知してなかったと言うことでこうなったようですね。
通知していた場合、扱いを拒否するのかもしれませんが、ホテルのランク的には拒否するのではなく相応の扱いをするように対応するマニュアルが存在したのかも知れません。
ただし今回の場合は「通知していようとしてなかろうと、お客の荷物を放置するのは"不法行為"だろjk」 と言う判断のようですが。
Re: (スコア:0)
Re: (スコア:0)
なんかうまく行き過ぎなようなきがするなー。
これ計画的犯行な感じがする。
Re: (スコア:0)
ホテルの約款が問題なっていますが、荷物の受け渡しのやり取りそのものに焦点が当たった場合、
どんな結果になるんでしょうかねぇ?
2500万円といった一般的に高額と見られる手荷物品を相手方に周知せずに預けさせる行為は、
社会通念から離れた不当な契約の押しつけのように見えますけど。
そもそも、そんな高額の品物を黙って渡す時点で宿泊客の不注意というか、
常識からかけ離れているような気が……。通告したうえでのそれなら、
ホテル側の瑕疵は理解できますが。
さて、本題としては約款変更に予告・承認が必要となると、事実上約款が改訂できなくなって、
変更時には解約する旨の条項を設けて再契約させる形になり、結果的に契約手続が煩雑化したり
しないでしょうかね?
どちらかと言えば、承認がない約款の変更があった場合は、一方は契約内容のいかんに
関わらず当該の契約を停止できる形にする方が良さそうな気がします。
Re: (スコア:0)