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書籍

紙の本のないテキサスの図書館が注目を集める 21

ストーリー by hylom
貸し出し可能というのは珍しい 部門より
headless 曰く、

米テキサス州に昨秋オープンした、米国内初の電子書籍専門の公共図書館「BiblioTech」が話題を呼んでいるそうだ(statesman.comの記事slashdot)。

BiblioTechがあるのはテキサス州サンアントニオの近所に書店のない地域。蔵書の重量を支える必要がないため、建築費はBiblioTechよりも小さな通常の図書館よりも100万ドル以上安くあがっているそうだ。カウンターにiMacとiPadの並ぶ館内はApple Storeのようで、スタッフの服装もApple Storeをイメージしたものになっているという。

利用できるのは3M Cloud Libraryの1万タイトルやオーディオブック400タイトルなど。館内での閲覧のほか、オンラインで貸し出し手続きをして自分の電子書籍リーダーやパソコンで閲覧することも可能。電子書籍リーダーの貸し出しも行っており、2週間の貸し出し期限を過ぎると1日1ドルがアカウントに課金される。貸し出し期限からさらに2週間返却しなかった場合には紛失扱いとなり150ドルが課金されるとのこと。ただし、3か月以内に完動状態で返却すれば、150ドルの課金は取り消される。電子書籍やオーディオブックに関しては貸し出し期限を過ぎると自動で消去されるため、返却が遅れて課金されることはない(蔵書に関する説明FAQ)。

BiblioTechは利用者に好評で、最初の1年で10万人の利用者を見込んでいるそうだ。近所の高校の下校時刻を過ぎると48台のiMacから空いているものを見つけるものは難しく、800台の電子書籍リーダーは半数が常に貸し出し中だという。また、地元の利用者だけでなく、同様の図書館を検討する自治体などからも注目を集めており、内外から調査に訪れる人も多いとのことだ。

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  • by Anonymous Coward on 2014年01月06日 14時19分 (#2522627)

    日本では、楽天Koboが、関市に1,250台のe-Ink 電子書籍リーダー Kobo Touchを寄贈 [rakuten.co.jp]しています。
    このうち1150台は関市立関商工高校に、のこり100台は関市立図書館に供給されていて、図書館に供給された分は端末ごと貸し出されているそうです。
    今のところコンテンツは青空文庫のパブリックドメインのもの [seki.gifu.jp]のようです。

    そのほか、まんのう町の図書館にも100台寄贈 [rakuten.co.jp]されています。

    #このまんのう町は独自の電子図書館を構築しようとしていたり [hatenablog.com]とか、なかなか前のめりで面白い事をやっています

    と言うわけで、端末貸し出しは珍しいですが、そもそも電子図書館が珍しい日本においては比率的に結構行われていると見ていいかもしれません。

    ただこれらはどれも2013年に入ってから、初期のトラブル多発で悪名高いkobo Touchをばらまいてるんで、ようするに売れ残って聳え立つKobo Touchの在庫の山の有効活用ってことですが 楽天なりの地域貢献の形ということのようですね。

    そして米国の電子図書館事情も少し。
    米国では、OverDrive社 [overdrive.com]と言う所が提供している電子図書館ソリューションがかなり普及しています。
    仕組みは、OverDrive社は出版社からコンテンツを集めて契約しています。そして公共図書館もOverDrive社と月々いくらで契約しています。この中には買い切りのものと、サブスクリプションモデルで月額料金として契約しておけるものがあります。利用者はOverDrive社のシステムを通じて電子書籍を自分の読書端末にダウンロードして読むことができると言う仕組みです。もちろん貸出本数は決まっているので、ないものは待つ事になります。
    端末はAndroidやiOSなどタブレットやスマートフォンはもちろん、SONY Readerや Amazon Kindle など、e-Ink端末にもダウンロードできます。
    貸出期間終了後は自動的に読めなくなります。
    この他に、同種のサービスを展開している会社として、NetLibrary社があります。こちらの方が老舗でより学術的な書籍に強いとされています。この他論文などに限定したサービスも有りますし、一つの図書館で複数のサービスを契約している事も少なくありません。

    おそらく今回のこのサービスは「紙の本がない」「端末ごと貸し出す」という所が新しいのですが、こういった仕組みがすでに背景にあります。
    ちなみにOverDriveの創業者は、オープンな電子書籍フォーマット、ePubを提唱・推進した人でもあります。

    では日本の電子図書館はどうなっているかというと…最近にわかに活発になってきています。
    従来も実験レベルでは、大日本印刷とTRCが丸紅と組んで韓国の技術を導入したWBook [i-neo.jp]等を利用しいくつかの図書館が実施していますが、対応端末でなければ読めない、表現が限定的、本格的でもなければ、あまり使いやすいようなものではありません。

    ですが、最近はけっこう動きがあるのです。最近話題になったのは、東京国際BOOKフェアの基調講演の中で、角川書店(当時)の会長が自ら発表した構想 [itmedia.co.jp]と、それを形にした日本電子図書館サービス [impress.co.jp]と言う会社ですね。KADOKAWAと、講談社、紀伊國屋書店が相乗りしている形になっています。KADOKAWAは学校図書に強く、自ら出版を行いながら学校図書納入も行っている汐文社を買収 [kadokawa.co.jp]するなど、少しずつ力を入れているようですね。
    また、従来はWbookを扱っていた企業たちが、大日本印刷・丸善・図書館流通センター・日本ユニシスなど図書館に近い企業が新しく開発してやろうとしている [unisys.co.jp]など、けっこう動きがあります。

    その他、OverDrive社は日本では電子書籍取次のメディアドゥと提携して現在日本上陸準備中だそうです。またNetlibrary社は今のところ紀伊國屋書店と提携しています。
    日本でも今年、電子図書館ソリューションが話題になることが多いでしょう。そして2015年度以降から本格的に普及が始まってくるものと思われます。電子書籍に詳しい人はくちをそろえて今年の東京国際BOOKフェアは電子図書館ソリューションが主役になるだろうなんて言ってます。

    ちなみに…
    なぜ電子図書館ソリューションなどと言う、特に年度予算に左右される日本では実際それほど金になりそうにも無いことに今注目が集まっているかというと、それはOverDriveの立ち位置にある、と言う説があります。
    OverDriveは、自社から、SONY Readerは当初から提携しているからあたりまえとして、Kobo、Nook、Amazon Kindleなど主要電子書籍ストアとの連携を実現しています。これは結果的に書く電子書籍ストアに横断したプラットフォームを構築できた唯一の強者という事も言えます。
    今は公共図書館向けですが、この状況から、次にDRMの共通化、あるいはDRMフリー、音楽のように定額モデルが躍進するなどブレイクスルーが有り、電子書籍が再編されるとすると、米国ではOverDriveが台風の目になるだろうと目されていることもあるようです。

    まぁ元年元年言うとGeekと鬼が笑いますが、今年は電子図書館紀元前で、来年が電子図書館元年って言われる年になるんじゃないかなと。

    • by Anonymous Coward on 2014年01月06日 15時53分 (#2522672)

      日本の学術関係だとebrary社 [ndl.go.jp]の売り込みが最近多い気がします。

      街の図書館のように注目書を比較的短いスパンで入れ替える場合,タレコミのような電子図書館は費用面で優れていると思います。ニーズのある人気書が早く手に入った方が良いですから。

      ただ麻薬的な側面もあり,予算や運用面で電子図書ライセンスを止められなくなる(拘束される)面もあります。
      たとえば大学や研究所の図書館で電子図書システムを導入するとライセンス期間は良いのですが,予算の都合などで更新を止めると後に一切何も残らない契約もあります。10年間毎年500万円の予算があったとき,電子図書システムを導入すれば10年間は無数の書籍にアクセスできますが,更新を止めたとたん,一切閲覧ができない状態になります。もし,その期間,現物の書籍を購入していれば,その後も利用することができます(もちろん種類の上では限界はありますが…)。

      # 日本の教育機関向けの電子図書ライセンスは年々値上がりが甚だしく,ライセンス維持が破綻しつつある背景があるのですが。

      親コメント
  • by PEEK (27419) on 2014年01月06日 14時08分 (#2522620) 日記

    人革や石板、陶片、粘土板、翡翠板などなんですね!

    --
    らじゃったのだ
  • by Anonymous Coward on 2014年01月06日 13時38分 (#2522606)

    書架に紙の本を用意してタイトルや装丁をながめたり、気軽に手に取って中身をぱらぱらめくったりできて
    借りるときは電子書籍だともっといいですね

    • by Anonymous Coward

      オンラインで貸し出し手続き可能なんだから、近場の本屋なり図書館なりで立ち読みして、
      気に入った物を借りたら良いんじゃないでしょうか。

      # 本屋潰れるだろうな……。

      • by Anonymous Coward

        オンラインで貸し出し手続き可能なんだから、近場の本屋なり図書館なりで立ち読みして、
        気に入った物を借りたら良いんじゃないでしょうか。

        # 本屋潰れるだろうな……。

        だから、近くに本屋のない地域で開いたんでしょうね。
        日本でそういう地域を探したら、利用者がほとんど居ない地域になっちゃいそうです。

  • by Anonymous Coward on 2014年01月06日 13時47分 (#2522610)

    さて、華氏何度で燃えるのかな。
    #端末燃やしてもしかたがないんだけどさ。

    • by Anonymous Coward

      パブリッシャーや国家の気分次第で一瞬で全世界から跡形もなく消しされるんだからこんなにありがたいものはないよね。

  • by Anonymous Coward on 2014年01月06日 14時00分 (#2522616)

    iPad専用だったら意味が無いような…
    「オンラインで貸し出し手続きをして自分の電子書籍リーダーやパソコンで閲覧することも可能。」とあるけど、どこまで出来るのですかね。

    それはさておき、電子書籍の権利関係はどうなってるのでしょう?
    2週間の貸出以降は自動的に削除されるとはいえ、新刊が続々と配架されるとは考えにくいのですが。

    • by Anonymous Coward on 2014年01月06日 14時34分 (#2522633)

      >どの端末が対応してるの?

      おそらくOverDriveのシステムだと思うけど、思いつく限りほとんど全ての端末に対応してるはず
      Android、iOS、Windowsはもちろん、SONY Reader、Kobo、Kindle、Nookなどのe-Ink読書専用端末でも読めるはず。
      コンテンツにもよるけど、たしかHTML5に対応したブラウザでも読めるから、Linuxとかでもいける。

      >電子書籍の権利関係はどうなってるの

      権利関係は電子図書館システムを売っている会社があって、そこに
      ・一度に貸し出せる冊数とラインナップに応じて月々の料金で支払う
      ・紙と同等かそれ以上の価格を支払って配信する権利を買う
      と言う形が一般的。
      もちろん権利者が電子図書館システム会社に許可して権利を預けてなきゃだめだけど、ただ図書館で貸し出されるより金になるらしいのと、公立図書館のほとんどが導入していると言う公共性のたかさからラインナップは多いのだとか。

      親コメント
    • by Anonymous Coward on 2014年01月06日 16時42分 (#2522717)

      > 「オンラインで貸し出し手続きをして自分の電子書籍リーダーやパソコンで閲覧することも可能。」とあるけど、どこまで出来るのですかね。
      リンク先に書いてある。

      > それはさておき、電子書籍の権利関係はどうなってるのでしょう?
      リンク先に書いてある。

      親コメント
  • by Anonymous Coward on 2014年01月06日 22時51分 (#2522921)

    武雄図書館的な意味で。じゃなければいいけど。
    4chanとかでの評判はどうなんだろう

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