Google と全米作家組合・出版社協会との和解が各国著作権者をも巻き込む 115
ストーリー by reo
全世界を巻き込んで絶賛大暴れ中 部門より
全世界を巻き込んで絶賛大暴れ中 部門より
ある Anonymous Coward および Mahiru.Minamino 曰く、
Google Book Search が行う米国内大学図書館のデジタル化をめぐって米 Google と全米作家組合 (National Writers Union. 以下 NWG), 全米出版社協会 (The Association of American Publishers) が昨年 10 月に合意した和解に従い、「日本において出版された書籍もベルヌ条約により米国における著作権を持つものとみなされ、特に申請のない限りは米国における著作権者としてこの和解に同意したものとみなされる。」とする告知が先日 2 月 24 日に新聞各紙で行われた (YOMIURI ONLINE の記事) 。
和解内容についてはGoogle ブック検索和解契約のページの他、本家 /. 記事、NWG のプレスリリース、NYTimes.com の記事、TechCrunch の日本語記事 などを参照されたい。和解の骨子は
- 2009 年 1 月 5 日以前に出版された書籍に関して、Google はデジタル化し Google Books Search (以下 GBS) でサービスに供することができる
- 上記許諾は、米国内の GBS サービスに対してのみ与えられ、米国外へのサービス配信には利用できない
- 著作権者は、申請により、個別の書籍を GBS に登録しないことを選択できる
- 今後の GBS の収益の 63 % を著作権者に配分する
- 上記の配分を行うことを目的の一つとして、Google からの出資を得た上で、書籍と著作権者の管理データベースを設立する
- 2009 年 5 月 5 日までの GBS サービスによる収益の配分として、Google はデジタル化された作品ごとに 60 USD を著作権者に支払う
- 以上の和解に同意しない著作権者は、2009 年 5 月 5 日までに、原告団から自身を除外するよう申請できる
となっているようだ。和解の効力は米国内での著作権者全てが対象となり、ベルヌ条約の規定により加盟国で出版された書籍は米国でも著作権が発生するため、影響が日本など世界中に及んだ形である。ところでこれ、マンガやコミック・同人誌なども影響をうけたりはするのだろうか ?
文藝協会に離反者が出るんじゃ…… (スコア:5, 興味深い)
今回の件で、Googleは作家への直接的報酬だけではなく、以下のコストを支払ってます
つまり、作家への負担コストはほぼゼロで、作家が個別に版権レジストリに登録するだけで報酬を得ることができるようになります。
ほとんどの場合、作家は売上ではなく刷った数に応じて印税収入を得ますので、在庫が売れようが返本されようが処分されようが収入はかわりません。なので、絶版になった書籍から収入を得ることは事実上ありません。つまり、作家にとってのリスクはありません。
そして、その報酬は「電子書籍の販売、書籍ページでの広告での売上の63%」です。日本の書籍の一般的な印税が高くて20%程度であることを考えると、破格と言っていいでしょう。
一方、日本文藝協会はというと、年間200万円というはした金で運用できるようなちゃちい検索ポータルで「ポータルサイトは利便性が高く、保護期間延長の弊害の大部分は解決できるはず」と豪語 [impress.co.jp]しちゃってるわけです。
まあ、立場も目的も違うのでしょうがないところはありますが、この落差はあまりにも激しすぎる。
もし、文藝協会が今回の件に対して非協力的な態度を見せるようだと、内部から崩壊してしまうんじゃないでしょうか。
しもべは投稿を求める →スッポン放送局がくいつく →バンブラの新作が発売される
Re:文藝協会に離反者が出るんじゃ…… (スコア:1)
音楽や映像の場合はレコード製作者の権利(著作隣接権)というのが財産権として残っているはずですが、書籍は出版権という別の権利制度で運用されています。そして、出版権は著作物を継続的に発行する義務がありますので、絶版になった瞬間に権利も消滅している気がします。
編集にかかったコストとかを考えると出版社にもなんらかのリターンがあってしかるべきとは思いますが……。
なので和解内容が権利者へのフィードバックである以上、日本では作家がまるどりになるんじゃないですかね。
#推測が混じってます。詳しい方、間違いなどありましたら指摘お願いします。
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Re:文藝協会に離反者が出るんじゃ…… (スコア:2, 参考になる)
Googleが公開する内容はあくまで「実際に出版された書籍」であって、作家の元原稿ではありません。そして、現実に出版された書籍は、作家個人の著作物ではなく、作家および出版社の共同著作物です。
通常、本を出版する場合には、作家は自らの原稿を出版社に渡すとともに、翻案権、公開権、それに通常の場合は独占的出版権を出版社に設定することを契約する旨の出版契約書を出版社と締結します。これを受けて出版社は原作者の作成した原稿を元に書籍を作成し出版できるわけですが、これによって作成・出版された書籍は原作者と出版社との共同著作物であり、元原稿より作成された「二次著作物」です。
この「書籍」という二次著作物については、原作者はもちろん、出版社も著作権を保持していますから、仮に出版社側が出版行為を停止して出版権が消尽したとしても、出版社が保持するその他の著作権は残ります。
ゆえに、Googleが支払うべき著作権料は、出版物に対する原作者と出版社との著作権比率となるわけで、決して、原作者が「丸取り」はできません。
実際に発行された書籍に対して原作者が保有する著作権の割合は、原作者と出版社との間で再度取り決めを行う必要がある とは思いますが、その書籍を制作する際に要する労力の比率を考えれば、出版を継続していた際の「印税率」と大きな差が生じるとも思えません。
Re:文藝協会に離反者が出るんじゃ…… (スコア:1)
初耳です。ソースがあるなら教えてもらえないでしょうか。出版社が行う校正や組版が著作権を発生させる根拠になるほどの創作性を有しているかは微妙だと思うのですが。
# For man might be free./人は自由になれるかもしれないから。
Re:文藝協会に離反者が出るんじゃ…… (スコア:1)
表紙は確かに独自の創作性を有することも多いでしょうね。ただ、表紙は表紙、内容は内容で別の著作物になるのではないでしょうか。表紙と内容をまとめて「本が共同著作物」というのは不正確と思います。
目次のデザインに独自の著作物性が認められるかどうかは、ケースバイケースで判断する問題ですが、著作権法上の創作性が認められる場合は表紙よりだいぶ少ないでしょう。また、創作性が認められる場合で「本が共同著作物」というのはやはり大雑把すぎるでしょう。
# For man might be free./人は自由になれるかもしれないから。
Re:文藝協会に離反者が出るんじゃ…… (スコア:1)
本ではなくて、本のスキャンです。スキャン行為やスキャンデータの販売を制限するなら、何らかの知的財産権の侵害と構成する必要があります。そして、通常の書籍では出版社側が書籍に加えた創作的な表現の量は著者に比べて明らかに少ないです。
出版社が本を一冊出版するまでの間に大変な労力を掛けているのは事実です。でも、現行の著作権法は労力を掛けたからといって著作権が生じるという制度にはなっていないのです。
すでに設定されている出版権に基づいて(あるいはその補償として)取り分を持っていく、あるいは本文の著作権を著者から譲り受けているというなら分かりますが、それならそう言えば良い話です。
同一性が侵害されている訳でも、氏名表示権が侵害されている訳でもないので、著作者人格権の話は関係ないでしょう。
そういう契約の例もあるでしょうが、#1521045の事例とは違いますね。折半なら63%の半分なので#1521045が主張する印税率くらいという数字(8~15%くらい)よりだいぶ大きくなりますし、著作権者が著作権を売り渡しているなら、著作権使用料は全て出版社に支払われる訳ですから。
# For man might be free./人は自由になれるかもしれないから。
Re:文藝協会に離反者が出るんじゃ…… (スコア:1)
法人著作でも、著作権は切れますよ。公表後50年なので(著作権法53条1項)、個人の場合に死後50年で消えるのに比べるとむしろ早いです。(映画の場合は54条のおかげでまた別)
# For man might be free./人は自由になれるかもしれないから。
Re:文藝協会に離反者が出るんじゃ…… (スコア:1)
仮に従来の印税率をそのまま維持すると仮定しても、その場合は販売価格に対する割合でしょう。そもそも現行の印税率が(出版社の卸値ではなく)定価にかけるものとして算定されているんですから。
また、さらっと出版社と著者の取り分が9:1にされているのも変です。現行の出版社は定価の9割のお金を得ていないばかりか、卸値の9割も得ていないのですから。(卸値を定価の7割とすると、印刷コスト等を無視しても、出版社と著者の取り分は6:1)
# For man might be free./人は自由になれるかもしれないから。
Re:文藝協会に離反者が出るんじゃ…… (スコア:1)
>また、印税は紙の書籍の売価に対する比率なので、出版社が印刷コストや在庫リスクをまるまる持っている計算
ここは電子書籍化にかかるコスト、ストレージと配信コストなんかをGoogleが持っているんで、どっこいなのではないかと。
#出版社から提供されたデータを元に電子書籍化が行われているとかであれば話は別ですが。
実際には編集、組版にかかったコストというのがありますので、労力の問題で言えば当然出版社にも取り分があってしかるべきとは思います。そのあたりは個別に設定となってるのかもしれませんが、前述の通り具体的に出版社が電子書籍化とその管理に当たってなにか仕事をしたわけではないので、あくまでメインは作者にあるのではないかと。
権利者の意味合いもちょっと微妙というか、日本における出版権ってレコード製作者の財産権なんかと違って義務が伴うので、絶版にした瞬間に法律上の権利は消滅してるんじゃないですかね。
そのあたりはたぶんアメリカとは事情が違うので、まだ刷り合わせが必要になる可能性は高いですが。
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Re:文藝協会に離反者が出るんじゃ…… (スコア:1)
紙の書籍の印税の同じ割合で出版社が持っていくかといわれると疑問が多いです。
書籍の販売における出版社のコスト負担対象になる作業は
あたりに分類できます。紙の書籍の著者印税は取り次ぎ小売の取り分とこれらの費用を引いた上でもらえる額が著者印税として設定されていると考えるのが妥当でしょう。そして、出版社の作業で創作に関連する行為は最初の編集くらい。
つまり、出版物に対する著作権料に該当する額が63%あって、著者への印税がさらにその中から支払われているわけではないと思うのです。
#そもそも、一般的には編集者と著作者では創作の主体(かかったコストは別にして)はあくまで著者にあるのでは?(百科事典や辞書なんかは別ですが)
著者印税との比較とは厳密には違うかもしれませんが、著作権料としての支払いである以上、全体としてそんなに大きな差があるとは考えにくいのですが……。
#直接販売だけでなく、広告収入についても分配があるというのも大きいんじゃないですかね。
#書籍で折り込み広告があったって広告料が著者に還元されることなんてありえないですよね。
しもべは投稿を求める →スッポン放送局がくいつく →バンブラの新作が発売される
Re:文藝協会に離反者が出るんじゃ…… (スコア:1)
夕べ、和解文を読んだ人に聞いたのですが、出版社と著者の取り分は50:50(1987年以後に発行)もしくは35:65(1986年以前に発行)、出版社が倒産している場合などは著者が100%受け取りということになっているようです。逆に百科事典みたいに出版社が100になる書籍もあるようです。
おそらく、この割合は出版契約に具体的な取り決めがない場合の話で、出版契約で別途取り決めがあった場合はそれに従うのではないかと思います。まあ、出版社込みの訴訟で和解した条件なので、大多数は取り決めのない場合の条件から大きく外れることはないかと。
ちなみに、日本で電子書籍向けの契約をした作家の方にお話を伺う機会があったのですが、その方は印税15%で契約したそうです。Googleブックと違い、書籍を直接取り込んだものではないのでこちらも単純比較はできませんが、参考までに。
しもべは投稿を求める →スッポン放送局がくいつく →バンブラの新作が発売される
Re:文藝協会に離反者が出るんじゃ…… (スコア:1)
>利者の不利益はほとんど深いページまでいかないと読めないようになっていますが、
>賛同したくない利用されたくないという場合には、訴訟しか手がないように読めます。
まぁ、まず訴訟の前に今回の和解からOpt-outですね。
そうしないとそもそも訴訟すら出来ないんじゃないか。まともな形では。
「非表示使用」はともかく、「表示使用」は和解に参加した後からでも回避できますよ。
Re:文藝協会に離反者が出るんじゃ…… (スコア:1)
絶版になった書籍が電子化されることで、具体的にはどんな不利益が?
少なくとも、金銭的な不利益は作者にはないと思うんだけど、ひょっとして精神的なものだったりする?
しもべは投稿を求める →スッポン放送局がくいつく →バンブラの新作が発売される
この件に関してまず最初に読むべき記事 (スコア:3, 参考になる)
書き忘れていたけれど、この件に関してまず最初に読むべき記事はこれだと思う。是非一読されたし。
骨董通り法律事務所 「全世界を巻き込む、Googleクラスアクション和解案の衝撃」 [kottolaw.com]
絶版本 (スコア:2, 興味深い)
出版社や著作権者にとっては面白くない話なんだろうが、
一読者としては、電子化もせずに絶版にして放置しているような
書籍がオンラインで読めるようになればと夢を見てしまいます。
Re:絶版本 (スコア:2, 参考になる)
この話は著作権者にとって悪い話ばかりでもないようで、GBSにおける利用法についてかなり細かく規定され、著作権者の利益保護に配慮がなされています。
絶版本に関してOpt-Outになっていることが従来の感覚から乖離しているだけで、電子書籍の配信に関する統一的な契約内容としては悪くないと思います。
まあ、この和解に同意するか否か自体がOpt-Out方式になっているのが一番衝撃的ですが。
#Opt-In方式であったなら素晴らしい契約だったと思います。
オプトアウトというところがミソなのでは (スコア:4, すばらしい洞察)
いえ、むしろオプトアウトだからこそよいのだと思います。
商標や特許が、自分で権利を主張しないと守られないものであることを考えると、
オプトアウトという考え方は、それほど衝撃的なものとは思いません。
世の中の大量の著作物について1つ1つ権利者に確認してオプトインすることは現実的ではありません。
できるだけ多くの著作物をDB化することは、消費者の利便性と言う点で重要ですし、
オプトアウトの権利が保障されていれば、決して著作権者の権利をないがしろにすることはないと思います。
例えば、オプトイン制で、オプトアウトの権利がろくに保障されていない、
JASRACのようにしてしまうのが素晴らしいとは言えないですよね。
Re:絶版本 (スコア:1)
>まあ、この和解に同意するか否か自体がOpt-Out方式になっているのが一番衝撃的ですが。
これはクラスアクションという訴訟形態の性質に依存しているのだと思います。衝撃的と感じるのは、日本にはこういった訴訟形態が無いからではないでしょうか。
Re:絶版本 (スコア:1)
ここにぶら下げます。
#っていうか、タレコミで「絶版のまたは市販されていない書籍」という限定をせず、あたかもすべての書籍が対象になるという書き方はどうなのかと思う。
紹介している記事によっては、日本国内のみで流通している書籍も対象になるのではないか、という指摘がありましたが、おそらく対象にならないでしょうね。
>問題の時点でその書籍の権利保持者または権利保持者が制定した代理人が米国内における1つ以上の通例の取引経路において新書として本を販売している時、その書籍は市販されているとみなされます。
米国のamazon.comで外国書籍が手に入るでしょうから、これで「市販されている」と判断されるはず。リアル店舗にも、日本の書籍を扱っているところは全米に1つくらいはあるでしょうし。
Re:絶版本 (スコア:1)
>#っていうか、タレコミで「絶版のまたは市販されていない書籍」という限定をせず、あたかもすべての書籍が対象になるという書き方はどうなのかと思う。
2009年1月5日までの書籍全てが基本的に対象となります。ただし、「表示使用」「非表示使用」という利用形態のうち、絶版になっていない書籍に関しては「非表示使用」のみが(少なくとも絶版になるまでは)有効です。
>紹介している記事によっては、日本国内のみで流通している書籍も対象になるのではないか、という指摘がありましたが、おそらく対象にならないでしょうね。
恐らく対象とならない、とする理由はどういったことでしょうか。
少なくとも、クラスアクションの対象はベルヌ条約に加盟している全ての国であると考えられます。むしろ「対象とならない」とする理由がわかりません。
Re:絶版本 (スコア:1)
すみません、対象という表現を「表示使用という利用形態になる範囲」という意味で使っていました。
そういうわけで、
>恐らく対象とならない、とする理由はどういったことでしょうか。
>少なくとも、クラスアクションの対象はベルヌ条約に加盟している全ての国であると考えられます。むしろ「対象とならない」とする理由がわかりません。
表示使用にならないのは、日本国内でしか流通していなくとも、ネット販売などで米国で市販されているとみなせるから、という回答にさせてください。
市販の条件となる、「問題の時点でその書籍の権利保持者または権利保持者が制定した代理人」による販売がネット販売を含むかどうか、は議論の対象になると思いますが。
Re:絶版本 (スコア:1)
これまでの議論は、みんなあなたが主張している内容は前提として理解していて、
「米国に代理店がなく、並行輸入してしか流通していない日本の出版社の発行する書籍が、
米国で GBS サービスの対象になるかどうか」について話あっているのだと思いますが。
その意味で、あなたは
>少なくとも、クラスアクションの対象はベルヌ条約に加盟している全ての国であると考えられます。むしろ「対象とならない」とする理由がわかりません。
と同じ意見ですよね。
日本の書籍の管理は誰が... (スコア:1)
アメリカで正式に出版されてない書籍が取り込まれると、
管理者不在で権利がないところへまちがって登録されたり、権利がないないところに配分されたりしそうな話ですね。
著作権者の確認はしてないが、登録は受けつけた。変更はできない。なんて話が先日、日本の管理団体でもありましたよね。
ライターの意見 (スコア:4, 興味深い)
>出版社はともかく、収入の分け前をもらえる権利がある著者にとっては面白くない話と言い切れないと思います。
>ただ、「分け前やるから進めていいだろ」と高圧的な態度をとったら進む話も進まなくなりそうではありますが。
一応、元ライターのはしくれの意見として。
「どうせ眠らせておいたって日本の出版社や政府やJASRACなんかは一円もくれない。
それをGoogleが自腹を切って稼いでくれるって言うんなら、大歓迎です。」
より高い条件で売ってくれる所が出たならそちらの団体に乗り替えるかもしれないけど、
「(今までライターの権利なんてまったく気にしてこなかった)日本の出版業界が正義で、
フェアユースを考慮したGoogleが悪」
と言う図式には、強い嫌悪感を覚えます。
それから、この流れだと日本の図書館も規制してほしいですね。
例えば、仮に図書館がハリーポッターを一冊入れて1000人に貸し出しても、原著者には
一冊分の印税しか支払われてないわけですよね?これでは原著者からしたら日本の
図書館と日本の著作権法に恨み節のひとつも言いたくなるんじゃないでしょうか。
一冊貸したら5%くらいは払っても良いんじゃないかと。
そういう日本の図書館に比べたらGoogleなんて遥かに良心的なのでは?
一応図書館内の人(Re:ライターの意見 (スコア:4, 興味深い)
という結果が報告されています。 そりゃま、図書館が充実して色々な資料を見比べることができれば、目も肥えてくるだろうし、手元におきたい本も出てくるだろう、というのが個人的な感想です。
また、ベストセラーを図書館が購入することの是非についても色々議論はされています。個人的には、1人が1日で読むとしても、1000人が読むには3年以上かかることに象徴されるように、1冊の本を読むことを3年待つ様な人が、図書館に入っていなかったら新刊を買うとは期待できず、本が売れない理由を図書館に押し付けるのは本質をはずしているという論に賛成です。
また、図書館で貸し出された回数に応じて著作者に対価が払われる公貸権制度ですが、日本の現状では、すずめの涙程度の金額になるのではなかろうか、という試算がされています。
Re:一応図書館内の人(Re:ライターの意見 (スコア:1)
>本が売れない理由を図書館に押し付けるのは本質をはずしているという論に賛成です。
んなことは言ってないわけですが。
「利用したんなら、相当な対価を払うべきである」ってだけ。
>図書館で貸し出された回数に応じて著作者に対価が払われる公貸権制度ですが、日本の現状では、
>すずめの涙程度の金額になるのではなかろうか、という試算がされています。
たしかにそうだろうけど、それは貸本屋が対価を払ってない言い訳にはならんのですよね。
ほとんどの本では雀の涙でしょう。でもたとえその中でキラリと光る名著があって
どれだけ利用されたとしても一銭も払わないというのでは、それじゃまるでJASRACじゃ
ないですか。
余談だけど、
>図書館が充実した地域の書店の方が品揃えが良くなる。
これは既に意味ないかも。全部amazonで買えるから。
そして米国だと図書館の役割さえも、全部ではないにせよGoogleが肩代わり
してくれようになるんでしょうね。Google調べてAmazonで買う。そこには地元の
図書館も書店も出る幕はない。
ひょっとしたら「Googleが充実した国の方が、Amazonの売上が良くなる」なんて
話が現実の物になるかもしれませんね。
Re:一応図書館内の人(Re:ライターの意見 (スコア:1)
自分のお金は誰しも大事ですから、そういうことを言いたい気持ちは分からないでもないですが、私はあなたの言い分は受け入れがたい論だと思います。
原則論として、自分の物はどうしようと勝手なんです。書物でも本来はその原則に従うべきもので、煮ても焼いても他人に貸しても自由なのが本来のあるべき状態です。
しかし、それでは作家が生きていく上で困るから、著作権法によって、コピーや貸与などについて、一定の制限を設けたんです。
そして、図書館に付いては原則に戻して、貸出を自由にしているわけです。
あなたがいう
というのは、上の通り、政策的に設けられた近代法の例外規程による恩恵に過ぎず、原則に戻った図書館による貸出しにまで恩恵を要求するのは、過剰な要求と言うべきものだと思います。
あと、あなたの言い分だと苦学をして図書館で勉強をしている人も切り捨てることになるんですが、それをどう思いますか?作家側の権利だけが増大すればそれで良しと思っているのですか?
Re:ライターの意見 (スコア:2, 興味深い)
中の人じゃないけど
> それから、この流れだと日本の図書館も規制してほしいですね。
本来普通の社会人が書店で買えそうな書籍を図書館が購入して貸与するのはおかしな話なんですが、専門書ばかりを揃えると「市民にとって役に立つものを」「稼働率が低い」などの批判が来るんだそうです。
Re:ライターの意見 (スコア:2)
著作権ってもともとcopyrightって言うようにコピーするための権利なんですよね。
日本語だと印税って言葉になっている通り印刷する(=コピーを作る)時点で著者にお金が発生しますし。
(販売された部数に対してではない)
なので本来の著作権の枠組みですと上記のことはすごく自然です。でもそのあとレコードとか映画とか
でてきて色々と概念が拡張されていって、でも本だけはそのままなんでしょう。
でこういう動きがあって今後変わっていくんだと思いますよ。徐々に。これも大きな一歩でしょう。
#ライターのはしくれと名乗っているので知っているのだと思いますが知らない人もいると思うので。
Re:ライターの意見 (スコア:1)
>なんで日本の図書館だけ規制するんですか?
論点が違うし、なにも「日本の」と限定するつもりもありません。
日本人の著作物を米国企業が利用することを問題視するのであれば、
外国人(例えばハリポタの原作者)の著作物を日本の企業や公的機関が利用するのも
同じように問題視すべきということです。
#まさか各図書館が原作者と毎回契約書を取り交わしたりしてないですよね。
米国のGoogleはダメだけど、日本企業や日本の図書館はOKだなんて筋が通りませんよ。
大騒ぎすることはない (スコア:2, すばらしい洞察)
またここでグーグル帝国主義について大騒ぎが始まるのでしょうが、そんなに恐れることはありません。
今回の和解に入りたくなければ除外を申し出ればいいのですから。例えば日本の作家団体でまとめて会員リストを送って「入らない」ということだってできます。あるいは英語以外の言語についての著作についてはとかいろいろ条件をつけて除外することだってできるかもしれません。そんな大雑把なことをしないことを望みますが。
個人的には、入手不可能な本を入手可能にするのはすばらしいことだと思います。そのためには、アクティブに著作権による金儲けを追求されていない本は基本的にOKという今回のようなやりかたに賛成です。
Re:大騒ぎすることはない (スコア:2)
ITmediaの記事 [itmedia.co.jp]の新聞広告を見ましたが、概要だけで細かい部分が不明(最初は和解に加わらず、後から参加は可能なのか、とか)で、さらに問い合わせもできないようで、ちょっと胡散臭い感じがします。
和解への異議申し立てと不参加には今年の5/5までの書面での申し立てが必要で、急がせてる割にはかなり不親切な説明だな、という印象です。実際には内容をきちんと精査しなければいけないので確かですが、簡単に諸手を上げて賛同というものでもないと思います。
Re:大騒ぎすることはない (スコア:1)
そんな単純な話ではないでしょう。
本題とはだいぶ外れてるんですが、興味深かったので、コメントさせていただきました
除外させてもらえる権利があるだけで、グーグル帝国につながらないというのはおかしな話で、
たとえで言うならば、100人の集団で、一人のボスが人を集めてもう80人近くの主流派を形成しかかったところに、
私は嫌ですといったら、人が目もくれないようなマイノリティーに自ら下ることになるわけです
それをどう選択するかは個々の判断でしょうが、それでグーグル帝国にならないというのはいささ安直な気がしますね
それどころか、この除外する権利をやるという手法はかなり手が込んでいて、
つまり、裏返しに除外すると申請しなかったならば、「自分の意思で参加した」ということに名義上できてしまいます
これは権力の隠蔽につながるのです。あるいは別の見方をすれば、旧来の権力イメージでは捉えきれなくなってしまいます
旧来型の権力イメージは、国家に象徴されるように、物理的暴力の独占による強制がその源泉だが、その場合、自らの意思で国を選択するということがあまり現実的なものではないということが前提される
それに対してグーグルの手法は、新種の権力への参加を自らの意思でなされたものとしてしまうのです
もっとわかりやすくいえば、拒否できる権力をやる=強制力はありませんよアピールです。
つまり、重要なのは、参加不参加を決められるということにあるわけではなく、
この仕組みが自然拡大をしていくうちに、検索ランキングのように、多大な影響力を持ってしまうということなのです。
日本の出版社が取るべきアクション (スコア:2, すばらしい洞察)
考え方としてはいくつかあるでしょうが、今のところは出版社が和解に応じた上で原則公開拒否とするのが一番無難なんじゃないですかね。
今回の件で一番問題視されているのは「米国では流通していないが日本では流通している書籍」の扱いについてです。
公開拒否をするだけであれば、出版社か著者のどちらかが期限までに和解に応じて公開を拒否することで事足ります。そして、出版社で原則公開拒否を明言しておけば、事実上日本の書籍に関しては公開禁止というステータスになります。
出版社単位で拒否とすれば、Googleも機械的に判別ができますので対応は簡単でしょう。
原則としているのは、日本でもすでに絶版になっていたりする場合は、公開を許諾したほうが利益につながることも考えられるからです。公開禁止を取りやめて公開して分配金を受け取るように変更することは可能なので、著者が望めば個別に出版レジストリに登録し分配金を受け取るというオプションをとれた方がよいためです。
まあ、現状、日本で電子書籍といえば大半が携帯電話向けで、日本語の書籍データをそのままスキャンしたデータを置いたところで有料サービスに加入してみようとする人がそんなにいるとも思えません。なので、日本語書籍のGoogleブックからのまともな収益は期待できないのではないかと思われます。
Googleは独占権を要求しているわけではないので、和解に参加すること自体にはさほどのリスクはないし、今拒否っておけば、いざGoogleJapan経由で国内展開しようとしたときにも混乱しなくて済むんじゃないかと思うんですが……。
しもべは投稿を求める →スッポン放送局がくいつく →バンブラの新作が発売される
Re:日本の出版社が取るべきアクション (スコア:1)
では、和解すら良しとしない場合の選択肢についても考えて見ますか。
今回の件はもともとはフェアユースの線引きが元になっているので、仮に米国の出版業界がけちをつけなければ無償公開をそのまま推し進めていたはずです。Googleがフェアユースの範疇内として行っている自称合法行為なので、訴えがなければ止める理由なんてありません。
したがって日本出版業界がこれをとめるためには、Googleの行為がフェアユースには該当するかどうかを米法廷で改めて争う必要があります。ただでさえ訴訟しなれていない上に、フェアユースという日本はない概念の法理について争うことになるので、著しく不利な戦いを強いられるはずです。
まだフェアユースの規定がない日本の法律で戦いたいのであれば、Googleブック検索の日本からの利用を制限することを求めることになるのかな?
訴訟対象としてGoogleJapanが妥当なのかというのはちょっと疑問が残りますし、米国で利用される分についてとめることもできませんので、単なる自己満足で終わる可能性が高そうですが。
しもべは投稿を求める →スッポン放送局がくいつく →バンブラの新作が発売される
抵抗は無意味だ (スコア:1, おもしろおかしい)
お前たちの地理情報と科学技術は我々と同化する。
お前たちの文化は我々と同化する。
抵抗は無意味だ。
良くも悪くもアメリカ (スコア:1, 興味深い)
たぶん米国限定なら、良いことなんだろうね、きっと。
非米国市民の一書籍中毒者としては、果たしてこれが絶版本の救世主なのか他国著作権の死神なのか何とも判断しがたい。
よくわからないポイントが2つ。
・米国外へのサービス配信は許可されていない
=> どうやってアクセスを防ぐ?クローズドなサービスにでもしない限り不可能では?
・絶版もしくは「市販されていない」というのには米国の状況のみで判定される?
=> 日本で絶賛増刷中であっても米国では絶版だったら対象に含まれちゃう?
Re:良くも悪くもアメリカ (スコア:1)
単に同じサービスを日本でもやればいいだけなんじゃないでしょうか。Googleじゃなくてもいいけど。
Re:良くも悪くもアメリカ (スコア:1)
>・米国外へのサービス配信は許可されていない
> => どうやってアクセスを防ぐ?クローズドなサービスにでもしない限り不可能では?
米国内で発行されたクレジットカードを所持してるかどうかなどで判断するんじゃないでしょうか。
少なくとも、全文提供に関してはそのような形で判断されると思います。
>・絶版もしくは「市販されていない」というのには米国の状況のみで判定される?
> => 日本で絶賛増刷中であっても米国では絶版だったら対象に含まれちゃう?
米国の状況のみで判定されるようです。これは今回の和解の内容(=クラスアクションによる法的決着の内容)がそのようになっていたからだと思います。
Amazonなどで手に入る、などのルートが絶版とみなされるかみなされないかはわかりません。
あと、対象に含まれるのは2009年1月5日までに出版された書籍の一部を除く基本的に全てです。その中で米国内において絶版になっているとされた書籍に関しては基本的には和解の内容での利用の形態で示されている「表示使用」「非表示使用」全てが適用され、絶版状態にない書籍とされている場合は「非表示使用」が適用されます。
明示的に「表示使用を許諾しない」とすることによって表示使用から除外することは、和解成立後、絶版状態にある書籍であっても、申し出ることによって全て可能です。
この同意がおかしいんじゃね? (スコア:1, 興味深い)
>全米作家組合、全米出版社協会が昨年10月に合意した和解
自分たちが管理している著作物以外にまで効力が及ぶ
(日本の著作物が米国で著作権が発生するからと言って、全米作家組合、出版社協会がそれを管理しているわけではないよね)
ような契約を権利者の承諾無く締結するというのは、法的に有効なのか?
各国から契約無効を求める裁判が起きそうな気がするが。
Re:この同意がおかしいんじゃね? (スコア:4, 参考になる)
米国法上は恐らく有効なんじゃないかなと思います。日記にも書きましたが、もう一度纏めてみましょう。
今回の決定上少なくともgoogleは米国で出版されていない本を含めこの決定は有効だ、としている理由は、「クラスアクション」という形式によって訴訟が起こされ、その訴訟に対しての和解が成立しているからです。クラスアクションという訴訟の形態は日本にはありませんので、各報道では単に「集団訴訟」「代表訴訟」などという表現になっていますが、一般的に日本でいうところの集団訴訟とは全く違うものだといえます。
クラスアクションの詳細については以下のサイトなどを見てもらうのがいいと思うのですが。
筑波アカデミア法律事務所「クラスアクション」 [tsukuba-academia.com]
クラスアクションによって訴訟が起こされる場合、まずその訴訟について効力を発揮するのがどのようなクラス(効力を発揮する範囲)であるのかを確定します。 その確定されたクラスに属す人、今回の場合は「著作権者」となりますが、それは自動的に判決・和解の効力が及ぼされることになります。 当然、その範囲に含まれたくないと考える人がいるので、そのために「opt-out」を行う機会が設けられます。それが今回のgoogleの公告によって儲けられている期間です。 今回、googleが「望まない人は申し出ろ」という方法を取っているのは、これはgoogleの傲慢ではなく、単にアメリカの法的手続きに沿っているからにすぎないといえます。
このクラスがどのような経緯で決定されたかは確認していませんが、基本的には裁判所がクラスについて判断するので、そのクラスについてgoogleは範囲を判断する立場にはないのではないでしょうか。
>自分たちが管理している著作物以外にまで効力が及ぶ
>(日本の著作物が米国で著作権が発生するからと言って、全米作家組合、出版社協会がそれを管理しているわけではないよね)
>ような契約を権利者の承諾無く締結するというのは、法的に有効なのか?
これが法的に有効なのが「クラスアクション」なのだと思います。その結果は少なくとも米国内では、クラスアクションの知・不知を問わず有効のはずです。
Re:この同意がおかしいんじゃね? (スコア:2, 参考になる)
今回のケースでは、新聞広告のみで公告を行ったのではなく、各出版社や各種団体へも告知を直接しているそうで、妥当性は高いのではないかと思います。著作者一人ひとりに連絡を取るところまでは要求をしないのではないでしょうか。
Re:この同意がおかしいんじゃね? (スコア:1)
>クラスの設定が不適切であったとして
クラスの設定はgoogleが行ってるものじゃないはずですからねえ……
対象とするとすれば米裁判所とかになるんでしょうか。また、Opt-outが可能となる期間が設けられている事を考えると、現実的には難しそうではあります。
そのうち音楽や映像にも適用されるのかしら (スコア:1)
/* pegiminh (aka .thx) */
Google Booksは2004年ころからの (スコア:1)
Re:もはや (スコア:2, すばらしい洞察)
米国の法的手続きとベルヌ条約の相互作用の結果が「邪悪」なので、
強引に端折って言えば、Googleが米国の法的手続きに誠実である事が「邪悪」と言える。
# それとは別に、著作権と言う概念やその実際の運用に、
# 「邪悪」を見出す人達が居る事も、充分に理解出来る。
そこまで見えていての「邪悪」と言う評価なら、私も同感だ。
本当に酷い話だと思う。
だが一方で、著作権の所在を曖昧にしたかった人達まで、
これにより否応無く巻き込まれるワケで、
それについては「ざまぁwww」と言わざるを得ない。
せいぜい世界中を巻き込んで議論して頂きたい。
Re:もはや (スコア:1, おもしろおかしい)
Re:マンガやコミック・同人誌 (スコア:1)
更には曖昧検索が出来て、「Lが死ぬ」とか「ミート君が分解される」とかでも検索できるようになるんでしょうか。
Re:マンガやコミック・同人誌 (スコア:1, おもしろおかしい)
今試しにFirefoxのGoogle Toolbarに「犯人は」と打ち込んでみたら候補がorz
アメリカだけの話 (スコア:1, 参考になる)
誤解しているようですが、今回の話はアメリカ国内での著作権についてだけの話です。つまり、Googleがこの和解によって、たとえば日本国内でのサービスが提供できるわけではありません。
世界に影響が及ぶというのは、世界の著者が持つアメリカにおける著作権に影響が及ぶという意味に過ぎません。