Appleは広告業界を殺そうとしている。が、それはマッチポンプかもしれない 29
囲い込み戦争 部門より
Anonymous Coward曰く、
ここ数年、Appleは個人情報を重視する路線、逆に言えば広告業界の影響力を抑制すべく動いてきた。デフォルトで追跡トラッカーをブロックし始めたほか、広告ブロック機能を搭載し、そしてWebブラウザのCookieも制限しはじめた。そしてiOS 13では、GoogleやFacebookのアカウントでのログインに代わる「Sign in with Apple」が導入され、さらに一歩進んだ対策が取られる。
GoogleやFacebookとの違いは、Sign in with Appleでは、身元をほぼ完全に匿名化していることにある。Appleのこのアイデアは本当に刺激的なものだ。いつの間にか企業にメールアドレスなどの情報がばらまかれる心配がなくなる。
たとえば、メールマガジン配信サービスの「Mailchimp」や、「Google AdWords」、「Facebook Ad Network」といった広告配信サービスでは、配信者は顧客の電子メールアドレスを容易に入手でき、商品を購入する顧客の特性を把握したり、表示させる広告を絞り込むことができる。このことは広告業界を知らない人にとっては衝撃的なことのようだ。Sign in with Appleという仕掛けは、前述のような広告ツールの仕組みを知る消費者には歓迎されるだろう。
一方、この方法はユーザーの完璧な囲い込みを目指すシステムでもある。Apple Payから、Apple独自のハードウェアでのみ利用可能な排他的購読サービスまでがこの囲い込みを実現するシステムだ。外部の企業には情報は提供されなくとも、Appleからは丸見えだ。
最近のFacebookのさまざまなデータスキャンダル以降、Googleを含むすべての大手ハイテク企業がAppleと同様のモデルに移行しており、他社を「個人データを守っていない」として批判するようなキャンペーンも大手ハイテク企業の間で行われている。こうした行為が正しいのが間違っているのかは分からないが、こうした既得権を持っている企業が彼らのルールを実現するためにそのサポートを強いることは正しいのだろうか。これは、AppleやGoogleのような企業が解体されるべき理由の1つにならないだろうか(Char.gd、Slashdot)。