masakun 曰く、
8月15日午前10時15分に気象庁は桜島に噴火警報を発表し、噴火警戒レベルを3(入山規制)から4(避難準備)に引き上げた(特別警報)。桜島で噴火警戒レベル4(避難準備)を発表したのは、噴火警戒レベル導入後初めてのこと。
15日午後1時過ぎに出された解説情報(桜島 火山の状況に関する解説情報第69号)によれば、南岳直下付近の火山性地震が多発。午前7時台5回、8時台31回、9時台116回、10時台106回、11時台186回と時間を追うごとに増加。山体膨張を示す急激な地殻変動も観測されていた。そのため昭和火口及び南岳山頂火口から3km以内に位置する、桜島南部の有村町及び古里町、東部の黒神町(塩屋ケ元)(いずれも鹿児島市)に避難勧告が発令された(鹿児島市の避難勧告)。
さて住民避難が完了した15日夜、毎日新聞が自社ヘリで撮影した桜島の写真を公開したのだが、そのうちの一枚に昭和火口底に見える溶岩写真があって、火山専門家の注目を集めることになった(Togetter まとめ、中村美千彦氏のツイート)。さらに鹿児島の映像プロデューサー吉留直人氏が火口から聞こえるというグツグツ音をアップされている。
しかし16日に出された気象庁の解説情報(桜島火山の状況に関する解説情報 第72号)に、16日になって火山性地震が急減していることや山体膨張が観測されていることの他、「本日実施した赤外熱映像装置による現地調査では、桜島の山体に新たな熱異常域は認められませんでした」としか書かれておらず、この件についてNHKが「地上から行った現地調査では火口以外の場所で、新たに地表の熱が高まっている場所は確認されなかった」という微妙な表現で報じているくらいだ(NHK)。昨夜火映が観察されなかったが、いったい桜島の昭和火口は今どうなっているのだろう。
ちなみに桜島の溶岩は安山岩質なので、玄武岩質の三宅島溶岩と比べると、粘性係数は2桁大きい。流下速度が小さく溶岩流の厚みが増す(桜島火山の溶岩流(II)-大正溶岩流のシミュレーション-)ため、もし流れ出しても、火砕流と違って避難に時間的な余裕はあっても原状回復は厄介だろうな。